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立山黒部アルペンルートの「楽しみ」方教えます!

富山側から北アルプスを横断しよう

富山県の立山町と長野県大町市を結び、立山連峰・後立山連峰を横断する日本一の山岳ルートが「立山黒部アルペンルート」。その楽しみ方を徹底解説。取材班は、富山側からの入山を断然おすすめ。なぜかといえば・・・

まずは、アルペンルートの概略を知ろう

 立山黒部アルペンルートは、立山連峰と後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)を横断する日本一の山岳ルート。
 富山県側(西側)から入る方法と、長野県大町市(東側)から入る方法がありますが、ニッポン旅マガジンがおすすめするのは、断然、富山側から。関東圏に住んでいると、大町側の方がアプローチがしやすいイメージで、扇沢からアルペンルート最高所の室堂(むろどう)を往復するパターンになりがち。
 実はこの方法では、「雄大な立山の高原地帯を登ってゆく」という感動や、天狗平あたりで突然視界が開けて立山連峰が目に飛び込む「高原バスの大感動シーン」が味わえません。
 というわけで、まずは富山に移動。立山黒部アルペンルートは、富山県側からだと立山ケーブル、立山高原バス、立山トンネルトロリーバス、立山ロープウェイ、黒部ケーブル、関電トンネルトロリーバスと乗り継ぐことに。この間は、マイカーでの移動はできないので、車の場合は立山ケーブルの立山駅近くの駐車場に預けるか、扇沢までの回送をお願いすることになります。
例年、全通するのは4月中旬〜11月3日頃まで。それ以外のシーズンは降雪により全通していません。
4月の開通時には、室堂ターミナル近くには有名な雪壁(雪の大谷)ができており、期間限定で雪壁ウォークも楽しめます。
およそ2万年前の氷河期に日本にやって来たという高山鳥の雷鳥も、運が良ければ室堂周辺で目にすることができます。晩秋から春は冬毛で真っ白に。初夏から夏は子育ての季節になります。

時間があれば称名滝に寄り道を

 富山県側の立山駅から立山ケーブルで美女平へ。
 越中(富山県)では、男子が成人となために立山山頂の雄山(おやま)神社へ登拝するという儀式がありました。中世〜近世に立山は信仰登山のメッカとなり、地獄を実感し、神仏に出会うために立山に登拝しました。
 旧登山道は一部に残されていますが、現在では立山黒部アルペンルートで手軽に標高2450mの室堂まで到達できます。
 その第一歩が立山ケーブルですが、富山地方鉄道立山駅(立山ケーブル立山駅)から立山黒部貫光バス称名滝行きで20分、終点から30分ほど歩くと称名滝(しょうみょうのたき)があります。
この称名滝、宗教登山時代の名残で、なにやら難しい名前が付いてはいますが、落差350mで日本一の巨瀑。美女平〜室堂の立山高原バスの車窓からもチラリと見ることはできますが(大観台にちょっと停車)、時間に余裕があるならぜひお立ち寄りを。
立山連峰は、ジオパークにも認定されていますが、この称名滝はジオスポットのひとつです。
 バス停(駐車場)に隣接の「レストハウス称名」ではラベンダーソフトも人気です。
 さてさて、立山ケーブルで登った美女平は、立山杉の茂る台地。遊歩道で杉の巨木を訪ねることもできます。
 美女平からは立山高原バスに乗ってまずは弥陀ヶ原(みだがはら)を目ざします。
 高原バスでは車窓の景色とともに植物の垂直分布にも注目を。樹相も立山杉からダケカンバへと変わり、高山帯が徐々に近くなっていることがわかります。

高原バスを弥陀ヶ原で途中下車

 急ぎ足でアルペンルートを横断する団体ツアーは素通りするのが弥陀ヶ原。アルペンルートの富山県側は、最高点の室堂平(標高2450m)から天狗平(2300m)、弥陀ヶ原(1600m〜2100m)、美女平(1000m)まで立山火山の大高原が広がっています。
 高原バスはこの高原地帯をうねうねと登ってゆくわけですが、途中ある湿原が弥陀ヶ原。
 バス停とある場所は標高1930m。湿原地帯には木道も整備されていますからのんびりと散策を楽しみましょう。
 さらに時間と財布にゆとりがある場合には、アルペンルートのオフィシャルホテルである「弥陀ヶ原ホテル」での宿泊をおすすめ。富山湾に沈む夕陽を眺める最高の立地です。
 すこし予算が足りないという人は国民宿舎立山荘も建っています。

室堂から天狗平へトレッキング

 弥陀ヶ原の散策を楽しんだら、再び高原バスに乗車して室堂へ。高原バスの終点が室堂で、ターミナルを起点に散策することができます。
 おもなプランとしては、
(1)頑張って立山・雄山山頂に登る
(2)室堂山に登って立山カルデラを眺望
(3)ミクリが池周辺を散策
(4)天狗平までトレッキング
 の4つが考えられます。
 取材班のおすすめは、(4)の天狗平トレッキング。
室堂ターミナルを起点に、ミクリが池(標高2410m、日本最高所の温泉であるみくりが池温泉があり日帰り入浴が可能です)、地獄谷を経て水平歩道を使って天狗平まで歩きましょう。
 天狗平は、立山高原バスで通過したポイントですので、全コースが「下り」となります。ミクリが池から地獄谷までは少し急な下りとなりますが、あとはほとんど起伏のない、スイスアルプスのトレッキングを思わせるお花畑のなかのアルプス展望コースとなります。
 途中の室堂ターミナル直下あたりは、雷鳥の生息地。初夏から夏なら子連れの雷鳥に出会うこともあるでしょう。
 宿泊はホテルがいい人は、天狗平にある公共の宿「立山高原ホテル」か、室堂のアルペンルートオフィシャルホテルの「ホテル立山」の予約を。
 温泉が絶対という人なら、少し山小屋風ですが、みくりが池温泉に宿泊を。思い切って山小屋にという人は室堂山荘か天狗平山荘などがおすすめです。

立山トンネルトロリーバスで黒部側へと移動しよう

 天狗平までトレッキングしたら、立山高原バスに乗車して、再び、室堂ターミナルに。ターミナルの上がホテル立山。さらに地上には園地もあって、名水百選選定の玉殿の湧水が引かれています。
 この湧水は、立山連峰を貫く、立山トンネルの難工事となった破砕帯から湧出する水。立山に降った雪や雨が長い年月をかけて湧き出したものです。
 その立山トンネルは室堂ターミナルで立山トンネルトロリーバスに乗り換えて抜けることに。
 ゆるやかな高原地帯とはこれでお別れで、険しい黒部の峡谷へと風景も変化します。
 大観峰のロープウェイ駅舎は、立山連峰の岩壁にへばり付くようにつくられています。そのため周辺を歩くことはできませんが、駅舎の屋上は展望テラスの成っています。
 真夏であれば、日中の最高気温が20度以下というクールゾーンもここでお別れとなり、徐々に上着を脱ぐ行程となるので、暑がりの人はとくにここでのんびりしたい場所です。
 ちなみに眼下の湖がこれから訪れる黒部ダム(黒四ダム)のダム湖である黒部湖。眼前にそびえ立つ山並みが、後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)で、左手が白馬岳、右手の方が表銀座(燕岳)・槍ヶ岳方面となります。

黒部平園地で立山の氷河地形をチェック

 大観峰駅で立山トンネルトロリーバスから立山ロープウェイに乗り換えます。大観峰駅は標高2316m、黒部平が1828mですから一気に500mを下ることに。ちなみに気温は100mで0.6度違うので、単純計算しても気温差が3度もあることになります。
 ロープウェイに乗ったらぜひ確認して欲しいことがひとつ。それが、途中に支柱がないこと。自然保護のために、支柱を立てないワンスパン方式を採用しているのです。どんなシステムかといえば、ロープの先端に重りを付けて太さ54ミリのワイヤーとゴンドラを支えていいるのです。
 さてさて、ゴンドラに揺られて、降り立つ先が黒部平です。駅舎の周辺は園地となって高山植物も植栽されています。
 振り返って立山連峰を見てください。立山の左端に見えるのが東一の越あたりですが、立山東面のカール(圈谷)と呼ばれる、スプーンカットしたような地形がよくわかります。実はここが日本アルプスを代表する氷河地形となっています。
 そして立山の右手、真砂沢には氷河(雪渓ではなく本物の氷河)も発見されています。
 日本に氷河があることをご存じでした?
(黒部平でケーブルに乗り換え黒部湖に下りますが、黒部湖は長野県側からの日帰り旅行者であふれています。黒部湖園地でのんびりとソフトクリームを味わうことをおすすめします)

黒部平からケーブルカーで黒四ダムへ

 黒部平からは黒部ケーブルカーで黒部湖に向かいます。このケーブルカー真っ暗闇を進みます。つまりは全線地中(トンネル)!
「黒部立山アルペンルートは建設にあたり、自然保護と景観維持に配慮しました。さらにこの区間は雪崩の危険もあるので前線地下というトンネル式になったのです」(立山黒部貫光の話)。
 まさに「貫光」です。
 高低差は373m。黒部湖駅は黒部ダム(黒四ダム)のダムサイトにあって、ダムの堰堤の上を歩いて渡ります。この部分が雨降りだとちょっと嫌な場所ですが。それでも黒部ダムの放水シーンなども眺める絶景が待っています。
 黒部ダムは立山と後立山の間を流れる黒部川を堰き止めて誕生したダム。黒部の秘境にこんな巨大なダムを造るのですから、どんなに大変な工事だったか想像もできません。
 その難工事を題材にしたのが有名な映画『黒部の太陽』です。
 ダムの堰堤を歩くわけですが、実は、立山から後立山へと川を渡ることにもなり、後立山側のダムサイトには黒部ダムの展望台も3ヶ所用意されています。

『黒部の太陽』と中島みゆきの紅白歌合戦の舞台がここ!

 映画『黒部の太陽』でお馴染みの関電トンネル。黒部ダムの建設のためには、物資輸送の大動脈である関電トンネルの開通が絶対的な条件となりました。ところが北アルプス・後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)のなかをくり抜くトンネルのため、大断層地帯に出くわします。
 それが破砕帯(はさいたい)で、膨大な水がこの断層から湧き出し、一次は工事は断念かという瀬戸際まで追い込まれました。
 まさに日本を代表する『プロジェクトX 挑戦者たち』です。
 NHKの『プロジェクトX 挑戦者たち』では黒部ダム建設のドラマを「秘境へのトンネル 地底の戦士たち」「絶壁に立つ巨大ダム 1千万人の激闘」と2005年10月11日・10月18日の2回にわたって放送。その主題歌がご存じ「地上の星」(作詞・作曲:中島みゆき)。
「第53回NHK紅白歌合戦」(2002年大晦日)では、なんとトンネルの中から生中継で中島みゆきが「地上の星」を歌っていますが、これはトロリーバスが走る関電トンネルではなく、仙人谷駅〜黒部第四発電所駅までの関電専用トンネル(関西電力黒部専用鉄道)の黒部川第四発電所前駅構内のトンネルで。残念ながら関西電力が主催し富山県が協賛する「黒部ルート見学会」でのみ見学することができる場所となっています。
 さてさて、黒部ダムサイトでダムの放水と立山連峰を眺めたら、名残惜しいですが、関電トンネルトロリーバスに乗って扇沢に向かいましょう。

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